【ネタバレあり】もうサイレントヒルもカプコンが作れ。傑作『バイオハザード7 レジデント イービル』

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ネタバレなしにこのゲームについて知りたい、買おうか買うまいか迷っている、なんて人には以下の通り主張します。

 

このゲームは確かにOUTLASTとP.T.と悪魔のいけにえとSAWを濃厚にパクッた作品ですが、
これらの要素を『バイオハザード』として完璧にまとめ上げた、まぎれもない『バイオハザードにしてまぎれもない“resident evil
ずばり今年ベストを争うであろう傑作
そして将来国産FPSのエポックメイキングな名作として語られるであろう作品でした。

絶対に買うべきゲームです。

 

買うならぜひ「グロテスク版」を。
「通常版」が平気なら多分「グロテスク版」も大丈夫です。通常版の規制って、グラフィックをこねくり回して規制の範囲内に収めたようなものが多いので。
明らかに腕がぶった切られた場面で腕がくっついたまんま、とか、むしろ通常版は規制のせいで不自然な造りになってるところがあります。
暴力的なシーンがまるごと変更されているわけではないので、グロテスク版が無理な俺でも通常版は平気でした!ってことはないと思います。
さあどうぞこの赤いパッケージの方を。

 

というわけでここからレビューです。

 

  

 

※※ここからしばらくは『バイオハザード7 レジデント イービル』の微ネタバレでっせ※※
※※「マジで何も前情報入れたくない!」って人は注意でっせ※※

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これでお前も家族だあ

 

 

 

P.T.とOUTLASTと悪魔のいけにえと諸々々々

『P.T.』を、私は今も大事にPS4のHDDに保存してある。
いつでも遊べる。
バックアップもとってある。
ふふふ。

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この傑作が、「サイレントヒル」最新作になるはずだったのにならずに終わっちゃった経緯は、結構有名だし今更掘り返したくもないので割愛する。

あの事件からまだ間もないE3 2016で1st trailerが発表され、次いで体験版『ビギニングアワー』が配信された『バイオ7』は、それはもう言われまくった。

「これP.T.じゃん」
バイオハザードにも影響与えるとかP.T.すごいなあ」

意味も分からぬまま放り込まれた一軒の家、歩いて探索するのがやっとの主人公*1、次々と襲う不気味で恐ろしい現象……。

何もかも『P.T.』が先に形にしていたことだ。

バイオ6』がずっこけて悩んだカプコンが、『バイオ4』の“フルモデルチェンジ”の栄光を再びと考え、『P.T.』のコンセプトにそのまんま飛びついた。
そうとしか見えない形だった。

しかも『P.T.』に比べると『ビギニングアワー』は劣化していた。
『P.T.』の恐怖描写はポーズ中すら容赦しない。ポーズ中すらゲームが進むとかそういうレベルではなくて、オプション画面にさえ幽霊が出現する。さらに進めていくと、画面が乱れて、ゲーム機自体がバグッたかのような様相を見せる。
「これはテレビゲームなんだ」という安心感をプレイヤーからはぎ取る、小島監督の得意技だ。
このお家芸は、ホラーゲームに用いられて初めて真価を発揮していたように思う。

それに比べると、『ビギニングアワー』は従来のゲームの域を出ていなかった。
アイテム画面が普通にあるし、『P.T.』に比べればステージも普通の構成だ。
それに、激烈に難しい道のりの末にトゥルーエンドが用意されていた『P.T.』に対して、『ビギニングアワー』はただ理不尽なバッドエンドが待っているだけで、意味深なアイテムも見せかけだった、というのも残念なところだった(アップデートで変わったけど)。

私は、この頃、「あー、ドラゴンズドグマ*2再びだなあ」とか思ってた。
つまり、人気の出た新ジャンルはとりあえずパクる、カプコンの悪癖がまた出てきたというわけだ。

 

 

類似点が誰の目にも明らかだったのは、『P.T.』だけではない。

少し洋ゲーをかじったゲームファンからは「『OUTLAST』の後追いじゃん!」と言われた。

無造作に置かれているマネキン人形の横を通り過ぎ、ふっと振り返ると、他に誰もいないはずなのにマネキンの向きが変わっている……なんてのはベタながら強力な恐怖描写だが、ホラーFPSにおいては『コンデムド クリミナルオリジンズ』が何年も前にもっと強烈に形にしていた。


condemned mannequin scene

 

 

 

映画をかじったぐらいの人の中には、「なんかバイオがとうとう『悪魔のいけにえ』をパクりだしたらしい」と言う人もいた。

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くっそ汚い家で人肉料理を囲み、ニコニコと笑っている、今回の敵、ベイカー家の人々。
生きてるのか死んでるのかわからないご老人まで一緒だ。
ホラーゲームを嗜むような人なら、誰だってあの一家を思い出す。

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シリーズファンが一番がっかりしたのは、このベイカー家の存在が発表されたときだろう。

今作が「原点回帰」を掲げて発表されたとき、昨今のガナードやジュアボといった敵に辟易としていたファンは、古き良きゾンビホラーに戻ることを期待した。
だが蓋を開けてみればこの有様だった。
ゾンビに戻るどころかさらに別の方向へ向かいだした。
キチガイから逃げ回るサイコスリラーの何が「生物災害」なんだよ。ゾンビどこいったゾンビ。
続報を聞いてそう絶望した古参ファンは少なくなかったはずだ。

 

私はというと、ベイカー家という新たな敵についてはそこまで抵抗感はなかったが、「多分今度も出来は良くないだろうな」ぐらいに思っていた。
人によって定義は違うだろうが、私にとって、パクリが許されるかどうかの分水嶺は、上手いこと昇華できているかどうかだ。
その点、昨今のカプコンは、ドラゴンズドグマに象徴されるように、何かを真似して取り入れたところで、劣化コピーに終わることがほとんどだったのだ。
「ああ、『バイオハザード6』でぶっ叩かれまくったから今度こそ恐怖描写に全力投球しようってんだろうけど、名作ホラーをただパクリまくれば怖くなるわけでもないんだよなあ……」

それぐらいの感想しか持たなかった。

 

しかししかし、結果としてカプコンは、見事な逆転ホームランを打ち上げた。
節操なく堂々と取り入れられたこれらの名作の意匠は、見事に『バイオハザード』としてまとめ上げられていた。

前置きが長くなってしまったが、後ろ向きな物言いはここまでである

 

 

 

 

「原点回帰」の看板に偽りなし!

これはもう体験版を遊んでもらえばすぐにわかることだが、バイオ7』は滅茶苦茶怖い
実にバカな感想だが、本当にそうなのだ。

まず、舞台の作り込みが、非常に非常に高いクオリティに達している。
すなわち、丁寧に上手いこと『悪魔のいけにえ』の(もっと言えばエド・ゲインの家の)雰囲気をモノにしているのだ。
汚物の並んだ食卓、カビにおおわれた地下室、湿地に浮かぶボロ小屋、死体が並ぶ解体場……と、いろんなロケーションが登場するが、いちいち最高にキモイ。
例えば食卓の上の鍋を開けてみたら、汚物がぎっちり詰まっていて、主人公の腕にゴキブリが這い上がってくる。最悪だ

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悪夢だよこれは。

 

新エンジンを駆使しただけあってグラフィックの描き込みも非常に精微だ。和ゲーメーカーの競争力低下が叫ばれて久しいが、ここらへんはさすがカプコンって感じだ。

そして、そんな恐ろしい空間において、キチガイ殺人鬼がどこから飛び出してくるかわからないのだ。
そこを一人称視点で延々と歩かされるのだ。
これが怖くないわけがない。

とはいっても頻繁にジャンジャカ飛び出してくるわけではない。
脅威に遭遇する頻度が実にいい塩梅になっていて、慣れるまで時間がかかってしまう。

さらに、体力ゲージやマップや残弾数といった、「これはゲームですよ」と我々に保証してくれる優しい画面オブジェクトがほぼ一切ないという、これまた『バイオ1』に回帰した無慈悲なスタイルもこれに拍車をかけてくれる。
探索中、BGMがほとんど流れないという演出もきつい。

 

ゾンビものFPSの傑作としては『LEFT 4 DEAD』とか『デッドアイランド』とかいろいろあるが、今作の怖さは、あれらが提供してくれた「押し寄せてくる恐怖」ではない。
それこそ『バイオハザード』第1作が私たちに提示した、「そこを歩く、という恐怖」だ。

ただ進めるだけでも怖い『バイオ』をカプコンは久しぶりに提供してくれた。

 

 

だが、怖いだけでは『バイオ』ではない。
シリーズ開始当初より、『バイオ』は一貫して「サバイバルホラー」なのだ。

人喰いゾンビがそこら中にいる洋館、話の通じない狂人でいっぱいの寒村。
バイオ』のプレイヤーと主人公は、わけもわからず恐ろしいシチュエーションに放り込まれ、抵抗もままならず右往左往する。
最終的な目標は「脱出」と決まっているが、何をどうすればいいのかさえ最初はわからない。
歩いているだけで怖い空間を、おっかなびっくりさ迷うだけだ。

 

しかし、やがてプレイヤーの手元には武器やアイテムが揃い、ゲーム内の「世界」に慣れてくる

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数々の不気味な敵も、決して殺せない相手じゃないと気づいてくる。
ゾンビは、呪術でよみがえった亡霊ではなく、ウィルスによって生み出された“感染者”でしかないのだ。初期装備では何発弾をぶち込んでも倒れてくれない恐ろしい敵だが、終盤近くにもなれば、ただの鈍いマトになってくる。
角を曲がった向こうでいきなり遭遇したからって慌てない。「あー多分いるだろうな」とだんだん予想がつくようになってくるし、実際遭遇する段になっても、一発ぶちこんでひるんでいる隙に脇を通り過ぎるだけだ。

バイオ』のプレイヤーと主人公は、恐怖を乗り越えて逞しく成長するサバイバーなのだ。

この点、『バイオ7』の開発陣は、実に“わかっていた”と言える。

一人称視点と、ゾンビでもガナードでもない「キチガイ一家」という、未体験の恐怖。
だがプレイヤーはだんだんそれに免疫がついてくる。
ナイフを手に入れ、ハンドガンを手に入れ、ショットガンを手に入れ……敵に対抗する術を身に着けていく。
そうしてプレイヤーが「サバイバー」となった頃、それを見計らったかのように、『バイオ7』は熱い戦闘パートを挟み込んでくるのだ。

それはローンチトレーラーである「TAPE-4“レジデント イービル」のラストで丁寧に提示されている。


『BIOHAZARD 7 resident evil』TAPE-4 “レジデント イービル

「イカれた一家め」

悪魔のいけにえ』同然のシチュエーションに放り込まれて逃げ惑うだけだったプレイヤーは、しかし成長し、ついにはあのキチガイ親父とチェーンソーを交えるのだ

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そしてもちろん、これ以上に派手な戦闘も登場する。
「ああ、やっぱバイオだわこれ!」と感心すること請け合いの派手なクリーチャーがきちんと用意されている。

 

大事なのは、バイオ7』は一貫して怖いままで、プレイヤーの方がなんとかそれについていけるよう成長してくるということだ。

今まで経験したことのない恐怖。
その中で成長し、生き抜いていく達成感。
振り返れば、『バイオ1』や『バイオ4』もこの2つをきちんと提供していたからこそ傑作だったのだ。
(逆に『バイオ5』や『バイオ6』がなぜイマイチだったかというと、怖いステージにプレイヤーが慣れてくるのではなくて、怖いステージがそもそも中盤以降なくなってしまうという構造だったからだ。)

バイオ7』は見事に「サバイバルホラー」への原点回帰に成功した。
『P.T.』『OUTLAST』を後追いした形になったものの、カプコンはこれら2つを押しのけて、「サバイバルホラーFPS」を完璧にモノにしたと言えよう。

 

 

 

※※ここから先はもうバリッバリにネタバレしてまっせ※※
※※もしここまで読んで「買ってみようかな」って思ったなら、この下の項は読まずにとっとと『バイオ7』を買ってくるんでっせ※

 

「邪悪な住人」達の「生物災害」、完成度の高い物語!

このキャラの件に話を戻す。

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私みたいにホラー映画・ゲームに中途半端にハマッてるプレイヤーは、この婆を見て、カプコンを舐めてしまう。
ああ、『悪魔のいけにえ』パクりたくて、生きてるのか死んでるのかわからん老婆キャラを入れたんだろうな」……(だって『バイオ6』あたりの体たらくを見るとそう思うもん)。

その油断に、まんまと付け込まれた。ていうかただの自滅だ。
在りし日の家族の写真はいくらでも転がってるのに、よく見るとこのババアらしき人物の姿はそれらの中にひとつもない。
そんなわかりやすい伏線がいっぱいあったのに、正体に気が付いたのは終盤も終盤だった。「ああ!!」と膝を打ってしまった。

 

というのは、私にとっての今作の個人的なツボだが、これに留まらず、今作は脚本が良かった

なんというか、実に『バイオ1』だった(焼き直しって意味ではない)。
物語を進めていくうちに、事件の背後にあるとんでもない「生物災害」の存在が明らかになってくる。
だが、大都市を巻き込んだバイオテロとか世界征服をたくらむ強化人間とかって話には決して飛躍せず、「館」の中で事件は終結するのだ。

まあスケールの大きさは好みの問題だけど(スケールが小さくなったのが逆に不満なファンは結構いる)、『バイオ6』なんかはそれで失敗していた。
米大統領まで巻き込む大スケールで、しかも4人のキャラの物語が同時に絡むという内容だったが、ぶっちゃけ、見事にまとめたとはいいがたいところがあった。

その点で言えば今作は、まとまっていた。
「えっ、それ未回収なの」ってところはちょっとあるけど、中盤以降、事件のタネが小気味よく明らかになっていく。
心霊現象としか思えない不気味な出来事の数々にも、ウィルスでもプラーガでもない新たな生物災害がタネとして作用していたことがわかってくるのだ*3
なんでそんな生物災害がルイジアナの片田舎に巻き起こったのか、どうしてあのキチガイ一家はキチガイなのか。すべてがどんどん明らかになり、プレイヤー=主人公の敵が誰なのかも見えてくる。

 

そして、逞しく苦難を乗り越えたプレイヤーが最後にたどり着くのは、体験版と物語序盤で死ぬほどビビりながらさ迷った、最初の廃屋だ。
いろんな舞台を巡り巡った末に最初の場所へ戻ってくる、というクライマックスは割と定番だが、実は『バイオ』シリーズにおいては初めてのことだ。
「遊ぶ人が自分の成長を感じられること」をゲームの重要な要素として挙げたのは宮本茂だが、「あんなに怖かった廃屋が今は怖くない!」と強く感じさせてくれるこの構成はとても良かった。
数時間前に自分とミアを襲った悲劇を幻視しつつも、プレイヤーは黒幕のもとへ進んでいく。わけもわからぬまま迷い込んでビビりまくっていた頃の自分とは違うことを自覚しながら、力強く歩みを進め、ついには黒幕と対峙し、悲劇に終止符を打つのだ。
クライマックス~エンディングの爽快感は、シリーズ最高だった*4

 

そして、エンドロールでタイトルが表示されたのを見ると、思わずため息が出る。
今作のタイトルが、タイトル芸だけで終わっていなかったとわかるからだ。

今作ではシリーズ20年目にして、初めて洋題をサブタイトルに据えた。

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海外では逆に邦題がサブタイトルになった。

これは、第一にはもちろん、シリーズの仕切り直し・新生・再スタートを印象付けるためだろう。というか最近のカプコンの仕事を考えると、それだけのためにつけた、インパクト重視のタイトル一発芸としか思えなかった。
しかし終わってみれば、今作は確かに「生物災害」と「邪悪な住人」の物語だった。シリーズ新生に当たって、シリーズが掲げてきたタイトル通りの物語をいま一度作り上げたわけだ。実にいい仕事だ。

今作の脚本には『F.E.A.R.』のリチャード・パーシーが参加しているが、彼の功績が結構大きかったに違いない。
やはり腕の良い本職を脚本に起用するのが一番だ。『リベレーションズ』が同じ形で成功を収めていたことから学んだのかもしれない。ゲームデザイナーとシナリオライターの両方の才能を兼ね備えることができるのは、小島秀夫のような巨人ぐらいなのだ。

 

 

悪魔のいけにえ』的シチュエーションが大成功! 

これは、上の2つに比べると小さな話になるのだが、『悪魔のいけにえ』的シチュエーションは、ある問題を解決する上で『バイオ』にぴったりだった。 

どういうことかというと、

そりゃそーだ
ありゃヒドかったもの
研究所ん中の移動、クランク回して下水抜いてピアノで月光弾いて紋章はめて入り口が噴水の中から現れんの
来客用の応接室の入り口、吊り天井だし
そりゃバイオハザード起こるわ

――平野耕太「以下略。」より

ということだ。

バイオ』の特徴のひとつに、歯ごたえのある謎解き要素がある。
像をごりごり正しい位置に動かしたり、壁にかかった絵を正しい向きに直したりしてパズルを解く。最初の行動範囲はすごく狭いが、そうやって謎を解いていくうちに鍵が手に入る。
「あっ「蠍の鍵」だと。そういえばあの開かなかった扉、蠍の絵が描かれてたな」
プレイヤーは来た道を戻り、新たな扉を開けて探索を続ける。
奥へ奥へ、スイスイすいすい進めてしまっては怖くない。歩くだけで怖い空間を、謎解きのために泣く泣く行ったり来たりさせられるからこそ『バイオ1』は怖かったのだ。

が、とはいえ、ホラーアクション黎明期だったからこそ『バイオ1』の謎解きはプレイヤーに受け入れられたのであって、今ではさすがに滑稽に感じざるを得ない。
バイオ2』も一緒で、あの警察署も、公的施設だというのに洋館と同じ有様だったからもう面白かった。「元々は美術館だからそういうギミックが多い」という苦しい後付け説明で乗り越えていたけど、いや美術館にしたって同じだわ。

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今でもこの像を見るとわらけてくる。なんやねんそのカギの隠し方。

 

しかしそこへいくと、今作の舞台は「キチガイ一家の邸宅」だ。
しかも、「“家族”を増やすために、拉致った人を脱出させないよう工夫を凝らしてある」という設定だ。
どこかからクランクを持ってきて橋を動かさないと湿地帯を渡れなかったり、扉に描かれた動物に対応する鍵を用意しないと通れない道があっても、それほど不自然には感じない(これについては『バイオ4』も上手かった。カルト教団の根城という舞台設定はファインプレーだ)。
「あのキチガイ共の家だもんなあ……これぐらいしないと抜け出せないよなあ……」というある種の心地よい納得と共に、物語が進む*5*6

悪魔のいけにえ』的シチュエーションは、こうして実に有効活用されていた。

 

 

結論:最高

発売が決定している、リメイク版『バイオ2』には、今回の技術やエンジンが用いられると推測されているが*7、このリメイクに大いに期待している。

上では書き漏らしたが、今作は過去作へのオマージュにもあふれている。
これは確かに『バイオ』シリーズ本編なんだな、とエンディングでは強く感じさせられたし、「あっ、あのキャラがここに!」と嬉しくなる小ネタもある。
今作において、荒れ果てた草地をひとりで進む序盤で味わう不安は、まぎれもなく『バイオ4』の序盤のそれだし、2階へ上がる階段が部屋の両脇に1つずつ用意されたあの邸宅の大広間は、言う間でもなく『バイオ1』の最初の大広間だ。
今作で『バイオ』は2度目のフルモデルチェンジを果たしたが、決して過去作を切り捨てようとしているわけではない。むしろ、スタッフがシリーズに対して持つ愛情の強さを感じさせる出来だ。

愛情と技術を兼ね備えたスタッフを擁する今のカプコンなら、きっと『バイオ』シリーズをまた盛り上げてくれるはずだ。

 

今作には対戦もCo-opもない。キャンペーンがほぼすべてだ。
現在主流のFPSソフトと比べると結構寂しい。が、これでフルプライス……敢えてケチをつけるとしたらここかもしれない(もちろん私個人としては、実に安い買い物だったと断言する)。

だが、HDハードが登場してからというもの、和ゲーメーカーがFPSというジャンルをまともにモノにできたことはほとんどなかった*8。このジャンルにおいて、いまや海外メーカーと和ゲーメーカーの技術力やノウハウの差は、ぶっちゃけ絶望的だ。
そこへ敢えて殴りこむのだから、マルチプレイを諦めまずはキャンペーンに全力投球するという選択は正しかったと言える。
そして、その挑戦は、実に実に見事な成功を収めたと言っていい。
数々の名作ホラーの要素を複合したホラーエンターテイメント、最高の形の“『バイオ』最新作”、と、今作を称える上ではいろんな見方があるが、和ゲーメーカーがここまで見事なFPSを作ってくれたという点でも、エポックメイキングな作品になったと思う。

本当に最高のホラーFPSだ。

もし買おうかどうか迷っているなら、ぜひとも買ってほしい。

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お前も「家族」になるんやで。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、まだPSVRで体験してない奴が何偉そうに言ってんだって話でもあるんですけどね!!

 

いつ買えるようになるんすかねあれ……。
エースコンバットシリーズも大好きだから、それまでには手に入れたいんすよね……。
でもスイッチ発売したらしばらくゼルダ漬けになるし……。
どうしましょうね……。

 

*1:昨今スピードを増すばかりの大作ミリタリーFPSとは対照的な、いかにも一般人らしいヨタヨタした歩き!

*2:スカイリムを目指した結果、アクション要素以外は何もかも劣化コピーに終わった残念なオープンワールドゲームだった。アクションは超よかったけど。

*3:ぶっちゃけ大したタネじゃないが、上手いこと着地しただけ、近年のバイオより全然良い。

*4:ビターな終わり方のエンディングもあるけどね

*5:ちなみに邸宅を設計したのは、あの洋館も手掛けたジョージ・トレヴァーだったと劇中で明らかになる。納得だ。

*6:まあ、一家がおかしくなる前から元々邸宅はこういう設計だったわけで、そこはおかしいけど。

*7:実際、新たに制作されたR.P.Dのステージデータが今作のデータから見つかっている。

*8:HDハード登場直前には『メトロイドプライム』という大傑作シリーズがあったがあれはほぼ海外製だし、『コーデッドアームズ』はPSP向けな上にB級感は否めなかった。